国立大学法人東北大学金属材料研究所中期目標・中期計画一覧

(年度計画、実施内容、達成度評価資料入り) 平成195月作成

中 期 目 標

(前文)基本的な目標
金属材料研究所は、創立以来物質・材料研究の中核研究所(COE)として、国際的に物質・材料科学研究を先導し、数々の新物質・材料を創製してきた。これらの物質・材料は20世紀の高度産業社会の基盤構築に大きな貢献をした。21世紀においても、金属を中心とした広範な物質・材料を対象とした国際的なCOEとして、材料科学に関する学理の探求と応用の研究を目的として、新物質・材料の創製を行うとともに、高度な材料科学研究者を育成し、環境・エネルギー、生体、情報・通信、高度安全空間など、最先端科学・工学の基盤となる材料科学の推進を図り、社会の持続的発展と人類の繁栄に貢献することを基本的な目標とする。

 


I 大学の教育研究等の質の向上に関する目標

 

1 教育に関する目標

 

○ 次代の世界トップレベルの材料科学研究者を育成する。

 

2 研究に関する目標
1)研究水準及び研究の成果等に関する目標

 

a)研究組織全体の研究活動の内容と水準の質的向上に関する目標

○ 各研究部門からの研究成果の萌芽によるボトムアップ的な研究を育成し、また客員部門制を活用して新分野への展開を機動的に進める。材料科学分野での世界のCOEの地位をより強固にするため、既存の4つの共同利用附属研究施設を充実し、国内外の研究機関との連携の下で、大きく共同研究を推進する。

 

 

b)研究領域毎の研究活動の内容と水準の質的向上に関する目標

 

○ ナノ組織・特殊構造化制御金属材料
目標物性を実現するために必要なナノ組織精密制御及びそれを可能にする新材料創製方法の開発研究を行う。それとともに、電子、原子、ナノスケールでの新しい材料物性評価解析技術の開発研究も推進する。これを用いた軽量高強度な構造材料、優れた磁気特性を示す磁性材料、耐熱材料、生体材料など実用応用材料の開発を目指す。

 

○ 環境・エネルギー関連材料
化石燃料の大量消費により発生した二酸化炭素は、地球温暖化や異常気象の頻発など、深刻な環境問題を起こしている。また、原子力を含めた化石燃料や資源の枯渇は、将来の人類社会の大きな不安要因となっている。これらの環境、エネルギー問題における材料の果たす役割は重要であり、クリーンなエネルギー源の開拓や、省エネルギー技術の向上のために、新材料の開発が不可欠である。本所における材料研究は、広義には、ほとんどが環境、エネルギー問題に関わっているが、特に、1)エネルギー変換材料の開発、2)省エネルギー材料技術の開発を重点課題として研究を推進する。

 

○ エレクトロニクス材料
エレクトロニクスの発展を支えているのは、新物質・新材料の開発と新物性・新機能の創出である。現在、微細化、消費電力、速度などの観点で、従来の半導体エレクトロニクスの限界が明らかになりつつある。その限界を打破する試みとして、半導体結晶作製に関わる原理的・技術的研究が渇望されていると同時に、光、スピン、超伝導などを融合した新たな指導原理に基づくエレクトロニクスの発展が強く求められている。そのためには、無機・有機の半導体結晶材料の従来にない低欠陥・高品質化、多元複合化の研究と、磁性体、セラミックス、強相関酸化物・化合物、有機物質、人工結晶材料、およびそれらの複合体を対象とした画期的な新材料の開発が急務である。本所では、理学と工学の融合により、21世紀のエレクトロニクスを支える新たな指導原理の構築と、新機能・高機能を有する材料の創製を目指す。

 

○ 原子力材料
高経年化軽水炉の安全確保のための研究、および将来の核融合炉材料開発に向けた最先端の材料科学的基盤研究を行う。特に、材料科学のCOEたる本所が果たさなければならない学理的研究に重点を置き、原子力発電の安全性、将来にわたるエネルギーの安定供給に対する国家的課題にこたえる材料科学的研究を推進する。原子力関連部門自らの高放射性照射材料研究実証の場として、我が国大学等研究者の唯一の研究基地として、国家的課題を果たすべく、ナノ構造・組成解析用実験設備等の整備を行い、原子力材料関連研究を一層発展させる。

 

2)研究実施体制等の整備に関する目標

 

a)研究体制(研究そのものを推進又は活性化する組織的な体制)の整備に関する目標

○ 小部門制の特徴を最大限に生かした自由闊達な共同研究を推進するとともに客員部門制を拡充し、本所発信の独創的な研究を育成する体制を強化する。そのため、組織運営の高効率化により研究者が研究に専念できる体制を構築するとともに、組織・昇任の弾力化、研究者の流動化を促す体制を整備する。

 

b)研究環境の整備・活用に関する目標

○ 材料科学の世界のCOEとしての効率的な研究推進のためには、施設設備等の新設・改修が不可欠である。

○ 本所の附属施設・センターの目標を以下にまとめる。
・附属材料試験炉利用施設
照射原子力材料を扱えるわが国唯一の大学附属研究施設として、 原子力材料研究の国際的なCOEを目指す。そのために、最先端の材料研究手法を確立して、機器共同利用型から共同研究型の研究支援体制へと重心をやや移行させると同時に、国際的な連携研究体制を整備する。

・附属新素材設計開発施設
研究部門の研究成果・研究シーズを積極的・効率的に吸い上げ育成し、製品化などの社会還元を行う社会連携拠点を目指す。ナノテクノロジー関連材料の世界的な開発競争をリードし、新材料を創製する。

・附属強磁場超伝導材料研究センター
「高効率低コスト型強磁場磁石を用いた強磁場超伝導材料の開発および新物質創製」を目的とした研究を推進するとともに、定常強磁場研究における中核的研究拠点として、強磁場を利用した総合的な研究を展開する。

・材料科学国際フロンティアセンター
個々の研究部門が個人ベースで行っている国際共同(協力)研究を一体的に進め、新しい基礎材料研究を本センターから発芽させる。

 

c)研究支援体制(研究そのものではなく大学共同利用機関や学部附属施設が
   機能の一部としているような共同利用等のサービス体制)の整備に関する目標

○ 技術支援体制に関する目標
「東北大学研究基盤技術センター(アドバンテック・センター)」と「研究支援センター(ベーステックセンター)」の設立を図る。このセンターを使用し、技術支援の高度化と技術職員の能力向上を図る。

○ 全国共同利用研究所としての目標
本所は材料科学のCOEとして,近年の材料科学研究の急激な発展と社会及び国のニーズに基づいた研究者コミュニティーの要請に対応し国内外に開かれた拠点研究施設として貢献することを意図して、材料科学に関する全国共同利用を行う。そのために独創的な発想に基づいた所内提案型の共同研究と、所外の優れた研究成果による外部提案型の共同研究を、バランスよく行う。さらに、原子力材料の照射研究基地としての材料試験炉利用施設、新素材のシーズを社会に還元するための新素材設計開発施設、強磁場科学の中核的拠点としての強磁場超伝導材料研究センターをさらに充実させる。

 

d)評価の充実に関する目標

○ 本所では、これまでに組織および教員の自己点検・評価および任期制の導入に伴い個人業績評価、さらに研究部門評価による助手席配当などとともに、外部有識者を含めた外部評価を行ってきた。研究の一層の活性化と社会への説明責任を果たすために、自己点検・評価および外部評価体制をさらに発展させる。

 


II 業務運営の改善及び効率化に関する目標

 

1 運営体制の改善に関する目標

○ 所長のリーダーシップと責任の明確化

○ 透明性のある意思決定組織の構築

○ 管理運営を効率良く行うことによって、教官ができる限り研究に専念できる体制の構築

 

 

2 教育研究組織の見直しに関する目標

○ T-2-(2)研究実施体制等の整備に関する目標と同じ。

 

3 人事の適正化に関する目標
○ 本所では、人事の硬直化を避けるために、他機関、他部局に先駆けて既に任期制を導入している。今後はさらに、所長リーダーシップと公正で合理的な評価に基づいた機動的で柔軟な人事体制を構築する。

 


III 財務内容の改善に関する目標

 

○ 積極的に競争的外部資金を増収するとともに、経費を削減する。

 


IV 自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標

 

1 情報公開等の推進に関する目標

○ 情報の収集管理を一元化効率化し、広報活動を戦略的に行う。

 


V その他業務運営に関する重要目標

 

1 安全管理に関する目標

○ 安全管理を徹底し、安全レベルを大幅に高める。

 


特記事項

 

 

 

 

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