b)研究領域毎の研究活動の内容と水準の質的向上に関する取組(その2)                 

 

○ 環境・エネルギー関連材料

 

D 太陽電池結晶、圧電材料、燃料電池関連材料に代表されるエネルギー変換材料を実現する。

 

平成16年度

・組成分散を有するSiGeバルク多結晶を用いた太陽電池を提案し、Siバルク多結晶太陽電池の1.3倍の高い変換効率を実現した。

・燃料電池用の電極として極めて高い触媒活性を有する材料、Ru-Cナノコンポジットを開発することに成功した。

平成17年度

・燃料電池技術に適用可能な6質量%以上の高密度水素を含む軽元素錯体水素化物群の合成技術を確立して、その機能化に成功した。

・結晶粒方位と結晶粒サイズを制御できる実用的なデンドライト利用キャスト成長法を開発し、単結晶に近い高品質のSiバルク多結晶を世界で初めて実現した。この結晶を用いて太陽電池の高効率化が可能であることを実証した。

・非鉛圧電素子材料の理論設計を行い、PZTと同等の圧電特性を有する新物質を発見した。

平成18年度

・遷移金属イオンを含む錯体水素貯蔵材料を開発するとともに、複数陽イオンの選択により水素貯蔵特性を精密制御することに成功した。

・高効率太陽電池用の高品質Siバルク結晶を作製できるデンドライト利用キャスト成長法をさらに大型装置に展開する準備を進めており、実用化に向けた取組みを開始した。

 

E 超伝導材料、耐熱・耐食性材料、水素貯蔵材料などを利用した省エネルギー材料技術の開発を進める。

 

平成16年度

・リチウムやマグネシウム等の軽量金属を含む新たな超伝導材料や水素貯蔵材料を合成してそれらの基礎物性を解明した。

・耐熱・耐食材料として、B4C-TiB2-SiCB4C-TiC-SiC系など、二元系及び三元系共晶セラミックスを開発した。

平成17年度

・マグネシウムやカルシウム等から構成されるペロブスカイト関連水素化物を利用した新たな水素貯蔵材料を開発した。

・耐熱性と酸性水溶液中での耐食性に優れた、残留応力の小さいAl203薄膜を積層したFe-Al合金を創製した。この材料は自動車排ガス用メタル担体への応用展開を検討している。

・包晶反応によりYBCOを作製するメルトテクスチャー法において、外部電場を印加することにより、211相の融解プロセス、YBCOの核形成速度を操作し、臨界超伝導電流に影響するYBCOの組織構造の調整を行った。

Li系で10%重量以上の水素吸蔵可能とする新物質の原子構造と物性の解明を行っている。

平成18年度

・アルミニウム水素化物の合成技術を確立するとともに、小型燃料電池への適用を目指した基礎評価を進めた。また、マイクロ波照射によるホウ素系錯体水素貯蔵材料での高速水素放出反応の誘起に成功した。

・包晶反応によりYBCOを作製するメルトテクスチャー法において、211相の溶解、溶質移動、YBCO核形成、YBCO成長キネティクスのそれぞれのプロセスに対して外部電場印加による操作性を検討した。

・強磁場センターで開発に成功した高強度Nb3Sn線材を用いた研究では、繰り返し曲げによる実用Nb3Sn線材の特性向上法(事前曲げ効果)の実用化として、コイル状で超伝導特性・機械特性の向上が起こることを実証した。特に、0.8%の曲げ歪みまで加工できることが新たに分かった。

 

F高速微量元素分析と高純度化の技術の開発を進める。

 

平成16年度

・資源循環型社会の構築に貢献できる素材の高度・高速選別を可能とする元素分析装置の開発を環境省、日本鉄鋼協会、鉄鋼環境基金の研究助成を受けて進めている。実験室レベルの装置では精度の優れた迅速分析が可能となっており、実機応用に向けて研究を継続中である。

平成17年度

ICP質量/発光分析法の前処理法として様々な試薬を用いた共沈分離法を開発し、金属素材中の10-7%濃度領域の極微量分析を実現した。

・グロー放電プラズマのような固体試料直接分析用の励起源を用いて、金属素材中の微量不純物元素の高速分析技術を開発した。これにより、Pb等の有害元素を数10秒程度で分析が可能となった。

平成18年度

・高速分析用のプラズマ励起源としてレーザー誘起スパーク放電プラズマの制御方法を開発し、産学協同によりその実機応用に向けた研究を行った。

・イメージ分光システムを用いた、発光分析用プラズマの二次元測光による測定条件の最適化により、分析精度の向上を実現することができた。