外部評価報告書
1. 序 文

 本報告書は平成12年11月13〜14日の2日間にわたり行われた東北大学金属材料研究所(以下「金研」と略す)の第2回外部評価レポートである。第1回は平成7年4月,鈴木平委員長の下に編成された外部評価委員会によって行われ,同年7月に報告書が公表されている。その報告で,金研は今後益々発展を続けて行くために,5年に1度程度の周期でこの種の外部評価を実施するように,との提案がされた。今回の第2回委員会はこの線に沿って招集され,外部評価が実施されたと言うことができる。

 しかしながら,この5年間に学術の環境は激変している,と言ってもよい。地球環境,生命倫理等に科学の巨大化が投影され,鋭角的な社会の目が科学全体に及ぶようになった。そして日本ではバブルの崩壊が単に経済のみでなく日本の国際的指導力を減退させており,自信の喪失や理科離れとも絡んで,学術の面にも及んでいる。一方,平成13年からは省庁統合が具体化し,文部科学省が発足した。そして平成7年に成立した科学技術基本法,そしてその具体化である科学技術基本計画(第1期:平成8年〜12年)は次の第2期に向けて動き出している。このような流れの中で,大学にとって極めて大きな転向,独立行政法人化が迫っている。これは教養部廃止や大学院重点化などとも比較にならぬいわば百年に一度の大変動と呼ぶべきものである。  この激動の中にあって「金研の評価とは何か」が本外部評価委員会に投げかけられた。日本の研究評価はまだ未成熟であり,形式的な評価をもっていわば免罪符とするような例もかなり見られる。逆に率直な評価が,かえってかんぐられる場合もある。本評価委員会の第一の仕事が,金研の評価はどうあるべきか,について合意形成にあったのも自然の成り行きであった。

 この問題について井上所長の説明は極めて明快であった。すなわち,「本評価は単に定期的なもの,といった受動的なものでもなく,独立行政法人化にそなえた緊急のものでもない。激動のこの時期に新たな展開への基礎資料の一つとして金研が自主的にその必要性を判断し,お願いするものである。長い伝統を持ち,共同利用研としての責任もある現在の金研を外部から見てどう見えるかについて率直なコメントをいただきたい。そして激動期にあって将来金研がいかにあるべきかへのヒントをいただきたい。評価希望事項は金研全体の理念,運営から個々の研究,教育活動を含むが,報告書の書式は任意であり,御自由にお書きいただきたい。」との事であった。これを受けて当評価委員会は二日間の視察とヒアリングを行い,その結果について各委員それぞれが評価レポートを提出し,これを委員長の責任で収録したのが本報告書である。評価委員名簿は資料1(38頁)に示されている。なお,資料2(39頁)には委員会日程が,資料3(40頁)には評価項目が示されており,資料4(41頁)には評価対象部門と担当委員名が示されている。  


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