外部評価報告書
外部評価報告書(第二回)の刊行に際して
金属材料研究所 所長   井上 明久

金属材料研究所は,材料科学の学理及びその応用を目指す全国共同利用研究所として1987年5月に改組されました。その後,1987年から1992年までの共同利用型研究所6年間の活動に間する自己評価委員会報告書を公表しています。さらに,1995年4月には,鈴木平先生を委員長とする外部評価委員会を作り,外部の第三者により研究活動の点検・評価を受けました。その評価結果はその後の5年間の本所の研究・運営活動にできる限り活かすよう努められてきました。第1回目の外部評価から既に5年が経過し,この機会に再度外部評価を受け,今後の発展に役立てようとするのは時宜にかなったことと判断し,外部の第三者による第2回目の外部評価を受けました。本小冊子は,外部評価委員会によってまとめられた本所に対する評価結果の報告書であります。

 本所を取り巻く環境は5年前に比べてはるかに厳しい状況にあります。平成13年1月6日の省庁再編,平成13年4月には全国77の国立研究機関などの独立行政法人化,さらに平成15年あるいは16年に予定されている大学の法人化問題など,いずれも大学の附置研究所である本所ではこれまで経験したことのない重要事であります。これらの問題に適切に対処していくことは,本所の将来の発展にとって極めて重要であります。幸いにも,共同利用型研究所である本所には,健全且つ活力ある研究所として発展していくための方策のひとつとして,外部委員のみによって構成された運営協議会が設けられています。この協議会は,所長の諮問機関であり,本所の教官を構成員として含んでおりませんので,本所にとって第三者によるチェック機関であると言うことが出来ます。この立場で,1995年の第1回外部評価委員会では運営協議会の議長を務めておられた鈴木平先生が外部評価委員長を務められました。1997年以来本所の運営協議会議長を伊達宗行先生が務められており,第三者の立場で本所の研究活動をつぶさに見て来られていますことから,大変お忙しいところ御無理を重々承知の上で,今回の外部評価委員長をお願いいたしました。また,委員につきましても,本所の日常の研究活動とはできる限り関係の少ない外部の学識経験者並びに企業の研究管理経験者から,伊達先生を中心に御人選いただきました。このようにして,斯界の第一人者にして且つ個性的なメンバーによる第2回目の外部評価委員会が発足いたしました。

 評価時に,評価委員会の先生方には,本評価は単に定期的で受動的なものではなく,また省庁再編や独立行政法人化に備えた緊急のものでもないこと,また,激変が予想されるこの時期に本所が新たな展開を図るための基礎資料の一つを自主的に得るためにお願いするものであること,さらに長い伝統をもち,共同利用研としての責任を担っている現在の本所が外部からどのように見えているのかのコメントをいただくと共に,この激動期に将来本所がどのように対処していくべきかのヒントをいただくことを目的にしていることをお伝えいたしました。評価希望項目として,(1)理念・目的,(2)組織運営,(3)研究活動,(4)教育活動,(5)教官組織,(6)付属研究施設を提示させていただきました。これらの点検評価項目は,本所がグローバルな視点で物質・材料の学理の探求とその応用研究の設置目的の基で,先端的,学際的,中枢的な研究機関として今後も発展し,且つ若手研究者の育成機能も果たした,いわゆる“高い競争力”,“高い社会貢献度”及び“十分な説明責任性”をもった研究所として自己改革に努めていくために必要なものであると判断いたしました。また評価目的の遂行のために必要であれば個々の研究者レベルまで調査・点検のメスを入れていただくことを拒むものではないことを申し添えました。また,研究現場を自由にお訪ねいただき,可能な限り多くの研究者に直接面談していただくよう評価委員の先生方にお願いいたしました。  このようにして出来あがりました本報告書は,本所の発展のためにという評価委員各位の熱情が胸に迫ってくる実に有益なものであります。ここに述べられている批判や提言は必ずしも本所にとって耳触りの良いものばかりではありませんが,いずれも心して肝に銘じなければならない貴重なものばかりであります。今後本所では「外部評価に関する検討・対策委員会」を設け,本報告書の提言の実行を図っていきたく思っております。

 最後になりましたが,ご多忙にもかかわらず外部評価委員を快くお引き受けくださいました8人の先生方にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。とりわけ,評価の準備から報告書の取り纏めまで終始お世話いただきました伊達宗行先生には大変なご苦労をおかけいたしました。改めて御礼申し上げます。  

   (平成13年2月1日)
 


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